女性の病気・体調不良

 鍼灸院や病院、その他の医療機関へ継続的に通っているのは圧倒的に女性が多いです。

 女性は慢性的な症状や不定愁訴を訴えることが多く、継続的に来院するケースが多くなります。

 男性は無理を承知で頑張っている人やストレスで緊張感の高い状態にある人、自営業や会社役員など具合が悪くても休めない方、または体調不良でも替えがきかない仕事の方など例外はもちろんありますが、概ね急性的な症状や運動器疾患、生活習慣病的な症状で来ることが多く、表面上の症状が良くなると来なくなる、おかしくなるとまた来るというパターンが多いようです。

 もちろん年齢を重ねてくるとその差は少なくなってきます。誰にでも平等に訪れる加齢性病変や若い頃からの悪しき生活習慣の蓄積からの病症が増えてくるのは自然といえば自然です。

 また、女性は生活習慣が高齢になってもさほど変化しませんが、男性は仕事の環境の変化や定年退職などで生活習慣が変わり体力が落ちるようになると活動量が大幅に減少するため、ガクッとパフォーマンスが落ち、大きなトラブルに悩まされることが多くなりがちです。

女性の方が平均寿命が長いのはこの辺が大きく関連してると思われます。

さて、本題にもどります。

なぜ女性が日頃から不調に陥りやすいのか?

 私達治療家の間では昔から言われていますが、一言で言えば女性には休みがないということです。

 男性は仕事や学校が終われば、頭やこころのスイッチがオフになります。ところが女性の場合、このスイッチのオンオフがない、24時間営業と言っても過言ではありません。

あるいは切替えがあっても明確でないことが多いのです。

また、女性はなかなか自分の都合やスケジュール通りに生活できないということも体調を壊す大きな要因となっています。

仕事では上司や男性の仕事の下ごしらえやあと始末、家では家事に夫や子供の面倒を見てと、気も心も休まることがありません。

専業主婦であっても楽できるわけではありません。かえって、家の中のことがこと細かく気になり、いろんな事に目をつぶれなくなり、やってもやってもきりのない落ち葉掃きの様な感覚に追われ、思うようにいかない事へのストレスを抱えて生活していることが多いです。

男性は短距離走者、女性は長距離走者のような生活習慣で生きているようなものですね。

共働きあるいは独身女性は、仕事で気を労することは当然ですが、帰宅しても家事や育児などたくさん仕事が残っています。

 最近の若い夫婦は家庭内の仕事を分業することに抵抗がなく、男性が積極的に家事や育児に協力するケースも増えてきて、夫婦共々健康な生き方をしているカップルもかなり増えてきています。

 しかし、末っ子やひとりっ子、女兄弟の中で育った人など(全ての人がそうではありませんが)充分すぎるほど手をかけられて甘やかされて育った夫を持つ女性は要注意です。数十年かけて教育していく必要があります。

それをしていかないと、悲惨な枯れた関係の夫婦になってしまいます。

 特に60代以上の夫婦では惨憺たる状況です。男は外で稼いで来るもの、女は家の中を守るという意識が強く、家の中のことに興味ない人がほとんどです。

 奥さんが風邪で寝込んでいても、靴下どこ?とかご飯どうする?とか、挙句に食べたら食べっぱなし、風呂も入るけれども出たらそのまんまなど、女性が休まることがありません。

かなりの高確率で、奥さんに愛想をつかれてしまいます。

 女性の筋肉量は男性の約65%と言われています。と言うことは、男性と同じペースで動いたら女性の方が疲れやすく、同じことをしても女性の方がどうしても余計に時間がかかるのは当然なのです。

 しかし、特にこの年代の男性は昔の教育、習慣が根強く刷り込まれているので、全くこういった自覚がないことが多いようです。

 女性が男性の要求に応えきれず、辛くなって逃げ出したり、熟年離婚が増えるのも無理ないですね。

 こう書くと独身女性が気楽に見えますが、さにあらず、独身者は男女の別なく根元的な部分でのストレスを抱えています。

 なによりも、一人でいるということが、気楽である一方、孤独感という大きなストレスになります。

 特に、将来のことを考えると不安で一杯になるので、この話はここらで終わっておきましょう。

 また、女性はおしゃべりをしないと病気になってしまう生き物なので、毎日、誰かと話をする必要があります。

 電話でもラインでも何でもよいですが、リアルにお話しする環境が欲しいですね。今は、SNSなどで文章で会話できる時代ですが、やはりできればお話しすることは大切です。

 よく夫婦で、一方的に奥さんが話をして、ご主人はうなずくだけ。

 これでよくうまく行ってるなあと不思議なようですが、それでいいんです。

自然と、話す人、聞く人の役割ができているのです。

 加えて、女性は小さい頃から、「女の子なんだから」という一言に集約されるように、常に家の中に目を向けるように教育されています。

 ですから、よほどのことがない限り、食事はすべて外食で済ますとかお風呂に入らない、掃除をしないということには抵抗があります。

 また男性に比べ居住空間へのこだわりも強い人が多く、片付けや装飾など気に入った状態にないと落ち着かないので、疲れていてもついつい動いてしまうということがよくあります。

その上に生活を営む仕事を持たなければならないので、相当、体力や気力を労します。

 独身男性の場合、なんと言っても食、というか栄養に対して無頓着な人が多く、中年期以降大病するケースが非常に多いですね。好きなものを好きなだけ好きな時に食べる、飲む。その他にも生活習慣がルーズになりがちです。生活習慣病というのは、大体15年後にその影響が出てくると言われています。

 また、身体の異変に気が付かなかったり、寝れば治るだろうと面倒くさがって身体のケアをしないで、何年も不調をかかえているという人もたくさんいます。

 このように、それぞれの生活スタイルを自覚した上で、その生活習慣を知ることにより今後の健康管理を意識してみてはいかがでしょうか。